子どもの「ことば」を育てるコツ

  • 子どものことばの力を伸ばしたい
  • 子どもと関わる時間があまり取れていなくて不安
  • 子どもとの関わり方が知りたい

このようなことでお悩みの方へ向けて、

どんな関わり方を心がけるべきか

を解説していきます。

「インリアル・アプローチ」を取り入れよう

インリアル・アプローチ(Inter Reactive Learning and communication:INREAL)とは、米国コロラド大学のワイズ(Weiss,R.) らによって開発されたコミュニケーション指導法です。

インリアルアプローチは、大人が子どものサインをうまく汲み取り、大人側の関わり方やことばかけを調整することで、子どもの「話したい」という意欲「自分がもっているコミュニケーション手段で相手と通じ合える」という自信を育てていこうとするものです。

ことばに遅れのある子どもへのコミュニケーション・アプローチの1つですが、技法の中にはお母さん、お父さんが日常生活の中で自然に行っていることも多く含まれています。

この方法を具体的に日々の生活に「意図的・意識的」に取り入れることで、子どもの「ことば」の成長に役立てることができると考えています。

やり方

コミュニケーションの原則

  • 子どもの発達レベルに合わせる
  • 会話や遊びの主導権を子どもに持たせる
  • 相手が始められるよう待ち時間を取る
  • 子どものリズムに合わせる
  • ターン・テーキング(やり取り)を行う
  • 会話や遊びを共有し、コミュニケーションを楽しむ

大人の基本姿勢「SOUL」

S(Silence):静かに見守り、

O(Observation):興味や遊びを観察し、

U(Understanding):気持ちや発達レベルを理解し、

L(Listening):子どもの言おうとすることに心から耳を傾ける

大人のことばかけのモデル

子どもの言語発達の程度に合わせて、大人はことばかけをしたり、子どものことばを聞いたり、と反応を要します。

その反応を言語心理学的技法によって以下の通りにまとめます。

  1. ミラリング:行動をまねる
  2. モニタリング:ことばをまねる
  3. セルフトーク:自分の行動や気持ちを言語化する
  4. パラレルトーク:子どもの行動や気持ちを言語化する
  5. リフレクティング:言い誤りを正しく言い直して聞かせる
  6. エキスパンション:ことばを意味的、文法的に広げて返す
  7. モデリング:言うべきことばや行動のモデルを示す

具体的な流れ

  1. 子どものやりとり場面を動画に録画する
  2. トランスクリプト(やりとりを書き出したもの)を作成する
  3. 専用の分析シートに記入する
    • 子どものコミュニケーション行動(発達段階、伝達方法など)
    • 大人の関わり方(待ち時間、リズム、意図の読み取りなど)
    • 両者のやりとりの様子(開始、反応行動、ターン数、伝達意思)
  4. 再び動画録画を行う

まとめ

以上、「子どものことばを育てるコツ」でした。

子どもの発達にとって、周囲の大人が発達段階に応じて信頼関係を結ぶことが最も大切です。

子どもの発達にゆっくり付き合い、寄り添いながら時には一緒に立ち止まったり、戻ったりしながら関わることが確実な成長を促すと考えられますが、一概に長く一緒に居るからよいというものではありません。

意識した関わりを、ほんのわずかな時間でも日々継続していくことが大切です。