嚥下体操の手順とその目的

嚥下体操は口の働きが当たり前でいられるようにすべての方が対象となるものです。

高齢になると筋肉や体力など身体機能の低下と同様に口腔機能も低下しやすくなります。

口の働きを支えている噛むとき飲むときに使う筋肉を使わないと加齢とともに低下してしまいます。

そこで口周辺の適度な運動・体操である「嚥下体操」を行い口腔機能を維持していきましょう!

今回は嚥下体操の手順とその目的を解説します。

嚥下体操の手順とその目的

嚥下体操は、体操などのストレッチからはじめて負荷のかかるような運動に移行していくようにしましょう。また、動かすのは大きな筋肉から小さな筋肉となります。以下の内容は私が実際に行っている嚥下体操となります。この内容を基本として、時間や負荷量を患者さまに合わせて飛ばしたり負荷量を多くしたり調整しています。

呼吸を整える

リラクゼーション効果と呼吸筋を鍛える効果があります。呼吸筋を鍛えることで飲食物が気管に入ったときに外に出す力(喀出力)が強くなり誤嚥しにくくなります。

深呼吸(3回)

大きく鼻から吸ってゆっくりと口をすぼめて口から吐きます。

首の体操

頸部周囲の筋力をほぐしたり筋力活動を促したりすることで飲み込みの力を鍛えます。

前後運動(3回)

床と天井を見るように交互に頭を前後に動かします。

右左運動(3回)

肩に耳をつけるように左右に頭を倒します。肩が上がらないように注意しましょう。

右左旋回(3回)

隣の人を見るように頭を左右に動かします。

首まわし(3回)

息を吐きながら左右にゆっくり首をまわします。

肩の体操

頸部周囲の筋力をほぐしたり筋力活動を促したりすることで飲み込みの力を鍛えます。

上下運動(3回)

方にぐっと力を入れてストンと下ろします。

顎と唇の体操

食物を噛むときに唇は閉じ、顎を動かします。噛む力がつくと食物が飲み込みやすくなり、身体の負担も軽減されます。またたくさん噛むことは「脳の活性化」に繋がり認知症の予防にもなります。

開閉運動(3回)

口を大きく開けて「あー」、口をしっかり閉じて「んー」と発声します。

唇の体操

唇は食物の出入り口で、しっかり閉じられないと食物が口から出たり、飲み込みにくくなったりしてスムーズな食事の妨げになります。

引き/突出(3回)

口を横に引いて「いー」、口を尖らせて「うー」と発声します。

頬の体操

口の働きで忘れがちな頬ですが、頬がうまく働かないと食物が口の隙間に残りやすくなります。気づかずにそれを放置すると最近が繁殖し肺炎の危険性が高くなります。

膨らまし/へこまし(3回)

頬に空気を溜めて膨らませてから、口の中の空気を吸い込み頬をへこませます。

舌の運動

舌は食物を押しつぶしたり、喉の奥に送り込んで飲み込むことを手伝ったり、味を感じたり、食の豊かさに大きく影響します。

突出(3回)

遠くに舌を突き出す、引っ込めるを繰り返します。

左右運動(3回)

左右の口角に舌をしっかりつけます。

唇を舐める(3回)

舌の先で唇を丸くゆっくりなぞります。

発声による唇と舌の運動

「パ」は唇の動き、「タ」は舌の前方の動き、「カ」は舌の後方の動きです。この動きは食べるときの大切な動きとなります。また、発声することで呼吸筋も鍛えることができます。

ディアドコキネシス(5〜10回)

「パタカ」をできるだけ早く発声します。

飲み込みの運動

飲み込むための喉の力(喉頭蓋閉鎖力・咽頭収縮力)を向上させます。

前舌保持嚥下(10回)

挺舌した舌を上下切歯で軽く保持したまま空嚥下します。

おでこ体操(5秒×5回)

額に手を添えて頭を下げます。頭を下げる力に拮抗して手は額に負荷をかけ5秒間維持します。

喀出運動

飲食物でムセたときに口の外に出す、喀出する練習でし。また喉に残った食物を取り出すときにも咳払いは有効です。万が一咳払いが難しい場合は「ハッハッハッハッ」と力強く発声することで咳払いの代わりとなります。

咳払い(3回)

「ごほん」とできるだけ強く行います。

呼吸を整える

クールダウンを含め、リラクゼーション効果と呼吸筋を鍛える効果があります。呼吸筋を鍛えることで飲食物が気管に入ったときに外に出す力(喀出力)が強くなり誤嚥しにくくなります。

深呼吸(3回)

大きく鼻から吸って、ゆっくりと口から吐き出します。

まとめ

以上「嚥下体操の手順とその目的」でした。

こちらの内容は無理のない範囲、ペースで実施してください。